インフレ鈍化ないが中身はひどくない
昨日東京株式市場は買い先行スタートも上値は重く値を消す展開となりました。注目の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回りました。総合は6.4%(市場予想6.2%)、コアは5.6%(市場予想5.5%)で着地。上昇率は12月より鈍化しましたが、平時に戻るにはやはり時間が掛かるということです。FRBがインフレ基調を見極めるうえで重視する「住宅を除くサービス」はおおむね予想の範囲内。全体の評価は「期待したほどインフレ鈍化ななかったものの、中身をみるとそれほどひどくはない」といったところかと思います。
ナスダック上昇で地合いの強さ
NY市場の反応はCPIが予想を上回ったことで、10年債利回りが3.751%に上昇。昨年10月21日の4.324%高値と12月30日の3.908%高値を通る下降トレンドを突破。そのためドルが買われ1ドル133円台へと円安・ドル高が進行しました。一方、株はまちまちの動きでした。本来、長期金利が上がると売られてきたナスダックは0.5%の上昇。CPIショックが起こらなかったことから、株式市場の地合いの強さを感じられました。
バークシャーはTSMC株を9割近く減らす
ところで昨日早朝の日経電子版に興味深いニュースが流れました。オマハの賢人、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが昨日提出した2022年末の保有リストで、昨年10~12月期に台湾積体電路製造(TSMC)株の保有株式数を9割近く減らしていたことが分かりました。TSMCは世界の半導体サプライチェーン(供給網)の要を握る企業であり、日本ではソニーと熊本県で新工場の建設を進める一方、アメリカでも政府誘致によりアリゾナ州に新工場の建設を進めています。
短期間で数十億ドル規模の売却は異例
そんな世界最大のファウンドリー企業の株の売却を進めたことの裏にはなにがあるのでしょう。時事通信によると、アナリストの試算では1株68.5ドル前後で買い、約74.5ドルで売却。バークシャーが短期間で数十億ドル規模の売却を行なうのは異例のことです。報告書には売買理由については記載がなく、TSMC株の取得や売却に至る経緯は、5月の株主総会における大きなトピックになりそうですが、この記事の影響なのでしょうか?
2月SQ値抜け出すまでは戻り売り
朝方、買い気配でスタートした東京エレクトロンやレーザーテックは寄り付き直後に高値をつけ、その後ジリジリと値を下げたことから日経平均も値を消す展開となりました。やはり2月SQ値(2万7779.75円)が心理的な抵抗ラインとなっているようです。ここを抜け出すまでは戻り売りということになりそうです。
日々勇太朗
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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