需給の変化に警戒感
昨日の東京株式市場は続落しました。3月限先物の最終売買日であり、ポジション解消やロールオーバーなど先物主導の動きです。本日のSQ通過で需給が大きく変化する可能性があり注目ということになりますが、7日の日経平均のローソク足が前日の陽線を陰線でスッポリ包み込んでしまったことで警戒感が高まります。
調整入り、天井打ちのサインか
最高値圏での陰線包み足は確立されていたトレンドの力が尽きたことを示します。日経平均は5日線を割り込み一目均衡表でも転換線を割り込みました。これが調整入りのサインなのか、天井打ちのサインなのか。ただし、7日のTOPIXは包み足ではなく差し込み線、マザーズは波高い足または行き詰まり線であり、天井打ちとは言い切れません。
FOMCサプライズ利上げの可能性
来週は13日(火)~14日(水)に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。市場予想は今回は据え置きですが、一昨日、先進国中銀でいち早く利上げの一時停止に入っていたカナダ中銀が早くも利上げを再開したことで、米国もサプライズ利上げの可能性が出てきました。
日銀会合はYCC政策変更議題に
また、週末15日(木)~16日(金)は日銀の金融政策決定会合が開催されます。前回の植田日銀最初の会合では量的緩和継続が示されましたが、2回目以降にはイールドカーブ・コントロールの政策変更が議題に上がることでしょう。
ETF処分は時価ベース
7日は植田総裁が衆院財務金融委員会に出席し、大規模な金融緩和の一環で買い入れてきた上場投資信託(ETF)について「処分の具体的な方法に言及するのはまだ早い」と述べましたが、処分する場合の価格は「時価をベースにすることになると考えている」との見解を改めて示しました。一昨日の後場に日経平均が下落した要因がこの植田発言です。
53兆円の売り将来持ち込まれる
日銀が保有するETFは2023年3月末時点で簿価が約37兆円、時価では約53兆円と含み益が16兆円超に膨らんでいます。どこで売っても大儲けですが、1日の売買代金が3~4兆円の市場に53兆円の売りが将来持ち込まれることは、先行きの相場を考える上で忘れてはいけない要因です。
若年層に現物給付する活用案検討
尚、同委員会に出席した鈴木俊一財務相は、日銀が保有する上場投資信託(ETF)の処分に関連し、少子化対策の観点も含めてETFを若年層に現物給付する活用案について「政府が財源確保目的で簿価で買い取るといったことが許容されるのかどうかという点を含め、考えていかなければならない」と述べました。
消費者物価2%定着すれば売却
日銀は政府から独立している機関であり、16兆円の含み益を簿価で買い取るという政府の発想には驚かされました。ただ、いずれにしても消費者物価が安定的に2%に定着しだせば、ETFの売却が行われることになりそうですね。
日々勇太朗
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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