アルゴリズムの読み【転ばぬ先のテクニカル】

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞
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高値掴み警戒して身動き取れず

一昨日の当欄で80年代バブルの「新人類相場」のことを書きました。生損保や銀行、証券ディーラーの若手が毎夜、飲み屋さんやサロンに集合し、翌日の銘柄を相談したり、クロス取引の相談をして相場を持ち上げたというお話です。当時のベテランディーラーにはバブル相場が危ういものと映り、高値掴みを警戒して身動きが取れませんでした。それは過去の暴落相場の経験が記憶にあったからです。

流れについていかねば成績上がらず

テクニカル指標など、現在でも重宝されている指標を見ると、例えば株価収益率(PER)が現在は15倍程度ですが、当時は50倍、60倍まで買われ、ベテランディーラーには割高過ぎるとなる訳です。ところが若手ディーラーはお構いなし。流れについていかねば成績が上がらないため強気で攻めていきました。

土地の含みを企業価値とする指標開発

また、当時、業界トップの野村證券が新しい指標を開発しました。従来の指標では顧客からも警戒されるため、新たに「Qレシオ」というものを宣伝しました。これは上場企業の土地の含みを企業価値として計算した指標です。

地図片手に銘柄選定

東京湾岸や大阪御堂筋などに社屋や工場を持っている企業の価値を株価指標にしたことで、証券会社は顧客を集めてバスツアーを決行。株だけでなく不動産もバブっていましたので、広大な工場を見学させ、「この界隈の地価は坪〇〇万円なので、敷地面積から計算すると、株価は〇〇〇円の価値があります」といった具合で、地図を片手に若手証券マンやディーラーは銘柄選定をしていました。

PBR1倍割れほとんどなくまかり通る

その敷地を売る訳ではないのに企業価値とすること自体は間違っているとは思うのです。一株純資産(PBR)が1倍以下なら評価できても、当時、PBR1倍割れ企業などほとんどなかったのでまかり通りました。

海外勢主役交代しながら株高演出

さて、この新人類相場と同じようなことが現在、海外勢で行われているそうです。JPモルガン証券によると、今の海外勢の主役は、初動段階ではCTA、次にバリュー系ファンド、そしてディレクショナル系ファンドが入れ替わり立ち代わり売買を繰り返し、順々に主役交代しながら株高を演出しているということです。

CTAはアルゴで機動的売買

CTAというのは先物・オプションを投資対象とする商品投資顧問業者が、アルゴリズム取引で機動的に売買する投資手法で、レバレッジをきかせたハイリスク・ハイリターン型運用を行います。

バリュー系Fは割安銘柄が投資対象

バリュー系ファンドとは本来の企業価値に対して割安な銘柄を投資対象とするファンドのことで、ウォーレン・バフェット氏をはじめとした長期投資を主体とするファンド。

ディレクショナル系Fはアルゴ分析で敏感に反応

そして、ディレクショナル系ファンドとはテクニカル分析やファンダメンタル分析に基づいたアルゴリズム分析をもとに株式市場に関わる様々な情報を分析して運用するファンドで、市場の様子に敏感に反応するため、瞬間的な暴落はディレクショナル系により起こるとされています。このように日々、主役が交代して相場を作る様は、新人類相場に通じるものがあります。

日経平均は売買交錯しだす

さて、日経平均はここで売買が交錯しだしました。14日の日中取引のおける日経225先物の出来高が10万枚を超えました。昨日は寄り付き直後から出来高が急増し、前場段階で6万枚超となっていました。先物の出来高が10万枚を超えだすと相場の転機を迎えることが過去に度々ありました。

アルゴなのが気味悪い

また、売買代金は25日間連続3兆円超えとなりました。確か、過去の最長記録は2013年の23日間でそれを連日更新しています。こうした現象をアルゴリズムがどう読むのか?新人類相場は人間が相談しあって決断を下していましたが、今はアルゴなのが気味の悪いところです。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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