スピード調整も全体の大きなトレンド転換にはつながらない|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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ヘッジファンドが数百億円規模の損失

米国株式市場で投機的な仕掛けから時価総額1兆円以上のゲームストップ株が26日から2日間で4.5倍に急騰した。個人投資家がSNSを通じた情報拡散で短時間のうちに買い上がりショートスクイーズを起こしたが、ポジションの解消でヘッジファンドが数百億円規模の損失を被った模様である。

リスク許容度の高い資金が横行する背景は?

リスク許容度の高い資金が横行する背景には、昨年高水準の売り残高を抱えながら大相場に発展したテスラ株の影響もあろう。社会変革をもたらす成長期待銘柄と投機筋が買いあおる銘柄を同様に論じる事は出来ないが、波乱相場が全体相場に及ぶ可能性には要注意である。

本格調整に向かうと考えるのは時期尚早

ただ、スピード調整があっても全体の大きなトレンド転換にはつながらないと見ている。巨額財政出動と未曾有の金融緩和によってリスク資産が支えられているという構図は当面変わらない。ヘッジファンドのアンワインドや上げ過ぎた銘柄の調整はやむを得ないが、たちまち逆金融相場に突入して本格調整に向かうと考えるのは時期尚早だ。

金融政策のベースが転換するのは今年後半以降

27日のパウエルFRB議長の記者会見でも経済回復が完了するまで強力な支援を続けることが改めて表明された。ワクチン普及によって世界景気がV字回復に向かうとしても、グローバル金融市場が拠り所とする金融政策のベースが転換するのは今年後半以降であろう。

コロナ禍でも業決算は概ね堅調

コロナ禍にありながら足元の企業決算は概ね堅調である。電子部品や半導体関連に留まらず、中国景気の好調さを背景に景気敏感株など広範囲な業種で予想以上に堅調な動きが見られる。非常事態宣言で飲食や空運などサービス業の回復は遅れているが、それらはむしろ今後の変化率の大きさに期待すべき局面だろう。

来期の平均増益率のコンセンサスが現在の40~50%から上方修正される

予想以上の速さで進む技術革新と経済の構造転換、注目が増すカーボンニュートラルなどの政策課題、財政支援策とワクチン普及による景気回復がもたらす来期以降の上振れ期待を株価がすでに織り込んだとは見ていない。第3四半期の決算発表が一巡すれば来期の平均増益率のコンセンサスが現在の40~50%から上方修正される可能性が高いのではないか。

長期投資に耐えうるという視点でコア銘柄を持つ

昨年来のコロナ禍における株高によって資産形成への関心は高まりつつあるようだ。金融相場が成熟する局面では投機筋の動きに目を奪われがちだが、そうした銘柄に深入りは禁物で外れた時にはすぐ逃げる割り切りが必要だ。将来的なバリューが見込め長期投資に耐えうるという視点でコア銘柄を持つべきであろう。村田製作所、ソニー、日本電産など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp

 

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