日本株の優位性増す|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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投機筋は売りを仕掛けにくくなった

市場の関心は再び米国景気動向などのファンダメンタルズに向かっている。
一時信用不安が懸念された金融市場だが、当局の迅速な対応によって短期間で落ち着きを取り戻した。貸し渋りによる実体経済への悪影響や隠れたリスクの発覚など不透明要因が払しょくされたわけではないが、リーマンショックを経験して金融危機対応への学習効果は小さくないと考える。
SNSやオンライン取引の影響を危惧する向きがあるが、今回の動きを見る限り投機筋は売りを仕掛けにくくなっただろう。

ネガティブ材料が景気悪化に変わってきた

米国ではインフレ鈍化基調が鮮明だ。3月の米卸売物価指数(PPI)は前月比で0.5%下落して市場予想も下回った。好感する動きが見られたが、今年になって米国の長期金利と株価の関係は逆相関から順相関になる傾向にある。ネガティブ材料がインフレではなく景気悪化に変わってきたことには注意が必要だ。
株価動向と「パウエル議長の考え方」

強い数字が続いていた雇用関係の指標もここに来てやや鈍化の兆しが見られる。ただ、3月の数字は金融不安で市場が動揺した際のデータのため、トレンドの見極めにはもう少し時間を要するかもしれない。重要なことは、遅行する景気指標によってぶれる市場予想より、リアル指標としての株価動向及び「パウエル議長の考え方」だろう。

過度な期待をけん制する姿勢は変わらない

FRBにはさらに難しいかじ取りが求められる局面だが、金融緩和に対する市場の過度な期待をけん制する姿勢は変わらないと見ている。

バフェット氏が来日した理由

そうした米国市場を取り巻く事情に較べて日本株の優位性は増している。バフェット氏がこの度来日したのは、長年のデフレ経済に慣らされ割安に放置された日本株市場に時代の変わり目・変調の兆しを感じ取ってのことではないだろうか。

下値は徐々に切り上がっていく

バフェット氏が買ったから云々というより、長期スパンのグローバル資金が日本株の比重を高めていく動きが広がることに注目している。日本の投資家は、そのような需給面の変化に加え、経済安全保障、賃金上昇、エネルギー価格など本格的なデフレ脱却とインフレ時代の到来に備える視点が必要だろう。海外株安時の押し目買いが基本戦略だが、下値は徐々に切り上がっていくと見ている。

テクニカル面では?

テクニカル面では、日経平均の2万8000円台後半は昨年来続く上値の壁が意識される。何度も跳ね返されているゾーンに近づいたが、先物や指数ETFを中心にショートポジションの積み上がりには要注意だ。急騰して急落するという従来のパターンが崩れた場合、買い仕掛けで思わぬ高値をつける場面も想定しておきたい。個別では中外薬(4519)、資生堂(4911)、村田製作所(6981)など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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