日本株優位の環境続く|光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏【相場展望】

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テック銘柄一辺倒の相場からの変調の兆し

日経平均株価は7月のSQを境に急上昇からの急落と大荒れの展開となった。
米国株やニュースヘッドラインの強弱で半導体関連株が大きく揺れ動いたとの解説になるが、乱高下の本質的な背景はSQ絡みによる短期筋の指数売買だろう。。プライム市場の騰落レシオ25日移動平均は120程度で反落しており、急騰の割に過去のピーク時と較べても過熱感はなかった。
逆に、日経平均が1000円以上下落した12日にはプライム市場の6割以上の銘柄が上昇している。指数の振幅が個別銘柄に与えた影響は小さく、下値は限定的と見る。むしろ、今回の調整はテック銘柄一辺倒の相場からの変調の兆しと捉えられよう。

ソフトランディングは期待ほど簡単ではない

FRBが重視する米雇用統計で6月の失業率が約2年半ぶりの4.1%に達した。賃金の伸び率も鈍化して労働需給は緩和傾向である。一方、小売売上高は前月比マイナス予想に対して±0で景気の底堅さを示した。方向感が定まらないインフレ、景気指標の現況は株式市場にとっては都合がいい環境だ。ただ、時間軸を少し先に伸ばせば、インフレを抑制しながら景気後退を回避するというソフトランディングシナリオは市場の期待ほど簡単ではないだろう。

米国株はここから先の強気は要注意

S&P500の予想PERは23倍前後まで上昇しており、リーマンショック後の平均値17倍台と較べても相当高水準だ。米国株は過去利下げ開始前後で一旦ピークをつけるパターンがあり、ここから先の強気相場は要注意と考える。

大きなトレンド転換に至る可能性は小さい

対して日本株は、金融政策との関係において米国株と真逆の状況にある。米国の金融緩和が景気後退を伴う可能性があるのに対して、日本の金融引き締めは、デフレ脱却と持続的成長に向けた確信が前提だ。日銀の市場重視の姿勢は不変で、仮に利上げに動いても大きなトレンド転換に至る可能性は小さいだろう。TPOXの予想PERは依然16倍前後にあり、アベノミクス以降の平均からほとんど乖離していない。PBRもS&Pの約5倍に対してTOPIXは1.4倍台と低水準である。ヘッドラインによる一喜一憂は避けるべきだ。

セクターでは?

期初に会社が発表した今期業績予想は、素材などの製造業を中心に慎重なものが多かった。8月初旬にかけての第一四半期発表で上振れ期待が出てくるだろう。今年後半に向けて日本株は欧米に較べ優位な投資環境が続くとの見通しだ。セクターでは金融と上振れ期待の素材、半導体、円安メリット株の押し目買い。個別には横浜ゴム(5101)ダイフク(6383)野村HD(8604)など。

光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 1大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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