9月は久しぶりに日本株が米国株をアウトパフォーム
9月相場は久しぶりに日本株が米国株をアウトパフォームした。足元ではナスダック100先物の投機筋ポジションが2006年以来のネットショートに膨らんでいる。コロナ再拡大や追加経済対策に関する不透明感から騰勢が弱まった米国株だが、超金融緩和を背景に需給関係からは大崩れはしにくい状況だ。日本株は米国株以上に底堅さを示しており、6月中旬から続く方向感のないボックス相場が長引いている。
レンジ離脱とボラ上昇に注意
10月以降年末までの時間帯はレンジ相場からの離脱とボラテリティの上昇に注意が必要だ。米国大統領選が11月3日に迫り市場の関心が高まる中、民主党のバイデン氏の優勢が伝えられ市場は選挙結果を見通し出したとの向きがある。しかし、最近の米国株の動きを見ると、劇場型政治を繰り広げたトランプ大統領が敗北した場合の影響を推し量るのは困難であるというのが実情だろう。
民主党政権になった場合は?
民主党政権になった場合、法人税率の引き上げや規制緩和の巻き戻しなどネガティブ要因がある一方、環境や社会インフラ及びヘルスケア関連など民主党政策銘柄の上昇期待もあり、必ずしもマーケットに逆風とは言い切れない。また、どちらが勝利しても大統領選が終われば、米国の対中政策は現実路線に戻ることが予想されグローバル経済への悪影響は低下しそうだ。選挙結果が拮抗した場合の政治的混乱さえ回避されれば、大統領選後は不透明感の解消から年末までにはリスクオンの局面が期待出来るだろう。
6日に臨時国会が召集
一方国内では10月26日に臨時国会が召集されるが、追加の経済対策が取り沙汰されており菅内閣の本格始動が意識される。内需活性化策を核とした「スガノミクス」の概要が明確になろう。また、コロナ禍において図らずもこうした実務型政権が出来たことは、東京一極集中の解消や地方活性化といった社会生活の変化と相まって従来の停滞、閉塞感からの脱却が進むとの期待もある。安倍政権の後半に日本株を大幅に売り越した外国人投資家の動向に変化が現れるか要注目だ。
景気敏感銘柄の押し目も狙う
イベントによって短期的な上下があっても世界的な超金融緩和策で溢れたマネーがリスク資産価格を押し上げるという構図は簡単に変わらない。景況変動の影響を受けにくいオンライン関連などの新興銘柄の人気が続いているが、年末高期待で建設、不動産などの政策関連と商社、鉄鋼、非鉄、機械などの景気敏感銘柄の押し目も狙いたい。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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