日本株の優位性増す|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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新たなトレンドが生まれる可能性は低い

9月のFOMCに注目が集まっている。結果に関わらずイベントの通過自体が投資家の不安心理軽減につながるだろう。短期的に変動率が大きい状況があっても今回のFOMCをきっかけに新たなトレンドが生まれる可能性は低いと見ている。

上値が重い状況はしばらく続く

FRBは巧妙ななかじ取りでインフレを抑制しながら深刻な景気後退も回避するというソフトランディングを目指すだろう。成否の確認にはまだ相当な時間を要するため、米国株の上値が重い状況はしばらく続きそうだ。

株価動向は先行指標

米国金融政策を予測する上で株式市場の動向は重要なファクターだ。FRBが重視する物価上昇率や雇用統計はやや遅行指標であるのに対し、足元で急反落している株価動向は先行指標として捉えられる。株価下落や金利上昇は個人消費に直接的な悪影響を及ぼすため年末に向けて景気指標やインフレ指数は減速傾向になる可能性が大きい。その場合、米国中間選挙の年の米国株は選挙前10月中旬に安値をつけてその後は選挙を経て年末に向けて上昇するというアノマリーがあり要注目だろう。

日本株の底堅さが明確に

一方、8月以降の騰落率でもわかるように米国株に対して日本株の底堅さが明確になっている。インフレとリセッション懸念が現実味を帯びる欧米株式市場に較べて、年間物価上昇率(除く生鮮・前年比)が依然2%台に留まり超金融緩和の継続日本市場はグローバル資金にとって相対的な優位性がさらに増している。

日本株の下値は限定的と見るべき

最近米国市場でベアマーケットの底入れ指標として「ルール20」が取り沙汰されている。PERとCPIの合計が20まで低下すれば本格的底入れシグナルとの見方だ。米国ではまだ大幅に上回っているが、日本ではPER13倍台で2%台の物価上昇率と合わせてもせいぜい16前後である。
円安と資源高により今期減益が予想される銘柄はすでに逆風を株価に織り込んでいるものが多い。金融引き締め期にある欧米株と違い、超低金利が維持される日本株の下値は限定的と見るべきだ。

素材など高配当利回りの内需株に注目

特に、10年タームで見て長期に低迷している金融、素材など高配当利回りの内需株に注目している。また、急激な円安がマクロ経済にマイナス影響をもたらすとの見方があるが、動きが落ち着くと海外売上比率の高い企業の増益要因がクローズアップされる局面もあるだろう。いずれにしても、不安定な米国株が安い場面での押し目を狙いたい。個別には資生堂(4911)太平洋セメント(5233)など

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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