株式投資開始には絶好の年|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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今年は新たな不透明要因を意識

2022年は米国の金融引き締め政策、ウクライナ情勢、コロナ感染など10年に一度あるかないかの歴史的事案が重なる年となった。2023年はこれらを引きずったままさらに一気に現実味を帯びた日銀の金融政策修正という新たな不透明要因を意識せざるを得ない。

見通し通りにそう簡単にはいかない

ご祝儀とは程遠く大発会からの低迷やむなしとの弱気ムードに覆われた年明けとなった。こうした状況下、各金融機関の日本株年間見通しは、前半低迷、後半反発で概ね一致しているようだ。米国の引き締め長期化観測と景気後退リスクが年前半の圧迫要因となるとの見立ては一見説得力を帯びている。しかし、実際にはそう簡単にはいかないのが相場の常だろう。

12月FOMCは楽観をけん制していた

12月12~14日開催のFOMC議事要旨では「2023年中の利下げ開始を誰も予想していなかった」らしい。そうした発信に米国株式市場は相変わらず一喜一憂の反応だ。ただ、当時は10月以降続いたリスクオン状態にあったことから市場の楽観をけん制する意味合いが強かったと解釈すべきだろう。

FRBは有効なカードを持っている

労働市場がサービス業や中規模以下の企業を中心に依然タイトな状況が続いていることに関しても、今後の景気・株価動向次第で急変動する可能性がある指標だと見ている。ここからの景気後退の顕在化は同時に引き締めピークアウトや将来の利下げ前倒し観測に結び付くことは意識すべきだ。いずれにせよ、金融システムの安定が維持され、FRBが有効なカードを持っている状況にあることが重要である。コロナやインフレの鎮静化が後ずれする懸念は残るものの、市場の読みより株価反転時期が前倒しになる可能性は低くないと見ている。

岸田政権は棚上げの政策課題に本気で取り組む

日本に限れば、今年は「デフレ時代の失われた30年からの脱却」や10年続いた黒田日銀総裁の交代など節目の年になりそうだ。岸田政権は今まで棚上げしてきた待ったなしの政策課題に本気で取り組む姿勢を示している。構造的賃上げ、投資促進、少子化対策、防衛力強化などだ。ハードルは低くないが、求心力浮上に向けたインパクトのある具体策が時代の転換に繋がる可能性は否定出来ない。

消費構造の変化も要注目

製造業の国内回帰により「安くていいもの」から「高くてもっといいもの」への消費構造の変化も要注目だ。市場が恐れている金融政策の修正に関しては、マーケットの大きな混乱を回避出来ることが絶対条件になると考えており、先送りされるか株価を見ながら微調整にとどまるというのがメインシナリオだろう。

日本株は明らかに割安水準

日経平均の予想PERは年末からの株価下落で現在12倍前後まで下落している。アベノミクス以降の平均約14倍と比較しても明らかに割安水準である。PERの逆数である益回りは8%以上あり、長期金利が0.5%まで0.25ポイント上昇したところで歴史的に異常なギャップ状態にあることになんら変わりはない。今年は足元の株価低迷や政策期待もあり、株式投資による資産形成を始めるには絶好の年になるのではないだろうか。

物色は?

3月までは割安高配当銘柄、年後半以降まで睨めば米国金利ピークアウトを視野にハイテク、グロース株の押し目を狙いたい。個別では日本製鉄(5401)住友金属鉱山(5713)ソニー(6758)など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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