8月下旬から新しいトレンドへ|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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サプライズは日銀のみ

注目の中銀ウィークを通過したが、日銀のみにYCCの柔軟運用方針でサプライズがあった。
FOMCとECBの0.25ポイントの利上げについては大方の予想通りで市場の反応は限定的だった。パウエル議長は市場とのスムーズなコミュニケーションに成功している。利上げそのものの評価や影響よりサプライズを嫌うFRBの意図が反映していること自体がポジティブ要因だろう。
日銀の金融政策については出口戦略への歩みは遅かれ早かれ避けられない。今後も一喜一憂せず穏やかに長く付き合う要件との認識が必要だ。

利下げ期待先行で株価は上昇しやすい

利下げ時期はともかく、米欧ともに政策金利(FF金利の誘導目標)が22年ぶりの高水準に到達し、利上げ打ち止めは近いというのがコンセンサスだろう。当局のけん制がなければ、利下げ期待が先行して株価は上昇しやすい局面にある。

過去の最終利上げ局面では?

2006年6月が最終利上げになったケースでは利下げ開始の2007年9月まで1年3カ月にわたり5.25%のターミナルレートが続いた。同期間株価は上昇を続けNYダウの上昇率は2007年10月に天井を打つまで30%を超えている。利上げピークアウトが大規模なリスクオン状況を招いた。この間拡大を続けた金融機関のバランスシートがその後に大きく棄損して1年後2008年9月のリーマンショックとリセッションにつながったのは記憶に新しい。

日本株優位性継続の背景は?

FRBは、インフレ期待の加速が鎮静化しつつある現況において、利下げ期待によるバランスシートの拡大を伴う資産価格の上昇には最大限の注意を払うであろう。米国金融当局の中立姿勢は、中長期のグローバル市場における日本株の優位性継続の背景になると見ている。

第1四半期決算は現状ポジティブ

第1四半期(4-6月期)の決算発表が始まった。バラツキはあるが現在のところはポジティブ反応が鮮明な印象である。今期に関してはインフレの定着と売り上げへの影響が最大のポイントであろう。30年以上経験していない視点であり消化が難しいものの、全体として業績へのプラス影響は軽視できない。業種・業態にもよるが、今後値上げが浸透するにつれ売上だけでなく利益面への寄与も期待出来る。長らく実感がない事象だけに、投資家の懐疑的な見方が息の長い上昇相場につながるのではないか。

しばらくはレンジ相場

しばらくはレンジ相場が続く可能性が大きいが、8月24日~26日のジャクソンホール会議あたりからは新しいトレンドが始まるのではと予想している。

個別では?

個別では日本製鉄(5401)三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)ソフトバンクG(9984)。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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