右肩上がりの長期上昇相場の始まり|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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長期下降トレンドへの転換は当面ない

米国の債務上限問題が一段落して好感する向きがあるが、いつものイベントを無事通過したというのが実態だろう。
米国景気指数は悪化気味だが雇用動向はしっかりで、ファンダメンタルズの傾向ははっきりしない。先には中国の5月製造業PMIが予想外に低下して一時的にネガティブサプライズの反応が見られた。世界景気の減速懸念がくすぶる一方、日本株は33年ぶり高値を更新するなどグローバル市場をアウトパフォームして急上昇している。仮に短期的なスピード調整があっても、あくまで日経平均で直近1カ月間急騰した反動であり、長期下降トレンドへの転換は当面ないと見ている。

日本株の優位性は説明がつきやすい

5月のISM製造業景況観指数は46.9と前月よりさらに悪化した。足元の米国経済は全体として減速傾向が見られる一方、労働需給は依然底堅さが見られる。市場が過度な弱気や楽観に傾くことを警戒するFRBにとって、中立姿勢をアピールするには都合のいい状況と言えるだろう。言い換えれば、欧米市場は安定しながらも、金利の高止まりに加えインフレや景気悪化懸念が払拭出来ず方向感が出にくい。それだけにグローバル資金から見て日本株の優位性は説明がつきやすい環境が続いている。

NT倍率の上昇傾向には一巡感

エヌビディアの好決算はインパクトがあった。日本株にも半導体関連株やAI関連のソフトバングGの急騰などに影響が見られる。値がさハイテク株が大きく値上がりした一方で、TOPIX型銘柄は頭打ちとなりNT倍率は急上昇した。今後も半導体関連株が物色の柱とある可能性は高いが、上昇ピッチは巡航速度に戻るであろう。NT倍率の上昇傾向にはそろそろ一巡感が出ると見ている。

広範囲の循環物色が継続する

見方の分かれるところだが、2019年~20年のようなハイテク株一辺倒ではなく、シクリカル株なども含め広範囲の循環物色が継続するとのシナリオを想定する。高値警戒は致し方ないが、脱デフレという時代の変わり目である視点は必要だろう。

バブル期にはPER30倍台が当たり前

米国株に較べた日本株の低PBRは、デフレ経済の低成長を前提とした低PERが長年続いたことが背景だ。これだけ上昇しても現在、日経平均PERは14倍台に留まっている。米国並みの18倍台なら利益が変わらずとも3割高の余地がある。知る人は少数になったが、1980年代後半のバブル期にはPER30倍台が当たり前で、TOPIXコア30のような代表銘柄が長期上昇相場をけん引した。歴史に学べば、現在がそうした右肩上がりの長期上昇相場の始まりだとしても不思議ではない。

個別では?

個別ではヒューリック(3003)トヨタ(7203)ソフトバンクG(9984)など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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