暴落時は年単位で成功確率高い|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

光世証券・執行役員 西川雅博|企業速報 証券市場新聞
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PBR0.8倍以下はリーマンショックの安値時と同水準

 2月初旬にクルーズ船で複数の感染者が確認された時、たった2カ月後にこれほどの危機的状況に陥ることを誰が想像出来ただろうか。株価は歴史的暴落の後、3/19に一番底をつけ乱高下を繰り返したが、ここに来てようやく安定を取り戻す動きが見られる。非常事態宣言が出され実体経済へのマイナス影響は計り知れないが、予想される4-6月期の記録的落ち込みは3月の安値で相当織り込んだと見るべきだろう。今回つけた日経平均の安値16300円台(3/19)はPBR0.8倍以下で、リーマンショックの安値時と同水準である。

しばらくは慎重な投資行動が必要

 米国株も同様に戻り歩調に転じているが、4-6月期米国GDPは年率30%以上低下し7-9月期は逆に10%以上回復するというのが市場のコンセンサスだ。夏までには感染拡大が沈静化して経済活動が回復に向かうとの見方がメインシナリオだろう。ただ、そうした楽観論に傾くには時期尚早と考える。テクニカル面や過去の暴落時と比較して3月の安値を再び大きく割る可能性は小さいと考えるが、市場の期待に反し、当局が示す感染沈静化の時期や外出禁止など感染拡大防止策の緩和時期が遅れるとの観測が浮上した場合は、2番底を探る可能性も否定できない。しばらくは、感染状況や各国の政策対応の動向を見ながら、慎重な投資行動が必要だろう。

中長期的には?

 一方、中長期的には、このコロナショックの後に訪れる世界経済の構造転換や新潮流、米中関係を中心とした各国のパワーバランスの変化、金融の強烈なアンワインドなど複合的視点が重要であろう。元々金余り状態にあった中でさらに未曾有の財政政策が各国で発動されている。莫大な負の遺産をはたしてAI革命がもたらす生産性の伸びでカバー出来るだろうか。再び過剰流動性によるバブル相場に発展する可能性もあり得よう。

中長期的な視点から購入時期を分散して仕込む

 かつて経験したことがない地球規模の災いに直面し、金融市場の混乱はしばらく続きそうだ。この局面でコロナ終息の時期やその後の世の中の変化を予測するのは難しいが、今こそ暴落時の株式投資は年単位のスパンでは成功確率が高いという原点に立ち返りたい。中長期的な視点から技術力や収益力が確かな優良銘柄を選定し、購入時期を分散して仕込んでいくことが有益な戦略と考える。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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