インフレ退治と金融安定のジレンマ
昨日の東京株式市場は反落しました。22日の米国市場では注目の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めました。今回のFOMCは「インフレ退治」と「金融安定」のジレンマのなか、どちらを優先すべきなのか難しい会合だったと思われます。先月までの経済指標は強く、直近の金融面の混乱がなければ、インフレ退治に懸命に取り組む姿勢を貫いたと思います。
QTで吸収した資金も緊急融資
しかし、声明では、これまであった「継続的な利上げが適切だろう」という文言が削除され、そのかわりに「追加の政策形成が必要かもしれない」と変更したことは、「金融システムは健全」と言いつつも、不確実な部分が多いということなのでしょう。昨年から開始したQTにより吸収した資金も今回の緊急融資により流動性は急増しました。
日米金利差拡大にも関わらず円高進行
0.25%の利上げをし、日米金利差が拡大したにも関わらず、円高が進行したのはそのあたりにあるのかもしれません。ドル円は本年1月16日の127.21円を底に、3月8日には137.91円まで約10円の値幅が動きました。当時も現在もドル円の200日線が137.40円近辺に走っており、3月8日は200日線が上値を押さえ込みました。昨日は130円半ばまで円高が進み、この間の円安の69.2%程度を削った形です。
124円まで円高進む可能性
ドル円の週足チャートを見ると、昨日で13週線を割り込みました。5週、26週は既に割り込んでおり、流れは円高トレンド形成中です。また月足チャートでは今週135.50円近辺で6カ月線と12カ月線がデッドクロスを迎えます。この下に走る24カ月線は現在124.20円近辺に走っており、130円割れで勢いづき1月の127.21円をも割り込む場合は124円まで円高が進む可能性があります。
FOMC通過し配当狙いの押し目買い
年度末が接近し、輸出企業が海外資産を本国に戻しているから円高なのかもしれませんが、パウエルFRB議長が年内利下げはないと断言しても、マーケットは利下げありに賭けている部分もあるように感じます。間もなく植田日銀体制に代わり、YCCの修正が近いと考えている節もあるかもしれません。株式市場は1円値幅の円高でも下げ幅は限定的でした。FOMCが通過したことで配当狙いの押し目買いが入りだしたのかもしれません。
中配当銘柄のほうが有利
筆者も来週前半の3日間は配当狙いの買いを考えておりますが、その場合は高配当銘柄を狙わず、2~3%程度の中配当銘柄を選択しようと思います。例えば海運株などは予想配当年利回りは10%を超えていますが、昨年の中間期が高配当で期末は中間期の半分以下であり、更に最新の四季報では来期は大幅減益予想となっているため配当落ち分を埋められないと思います。そういう意味では中配当銘柄のほうが有利ではないでしょうか。
ドル円130円割れなら買い見送り
また、ドル円が130円を割るようなら買いは見送り、配当落ち後に投資戦略を練り直したいと考えております。
日々勇太朗
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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