感染拡大落ち着けば1割以上の株価上昇も|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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日本株の弱さが目立った

GW明け後の日本株は変動率が急拡大、大方の予想に以上調整色を強めた。米国で4月のCPIが前年同月比4.2%上昇してインフレ懸念が高まり株価が大きく反落したのがきっかけだが、この間、主要国市場の中で特に日本株の弱さが目立っている。5/10から5/20までの下落率はNYダウの1.9%に対して日経平均は4.8%である。日銀によるETF買付手法の変更やアルケゴス問題によるマーケットへの疑心暗鬼など複合的に重なって急落につながった。金融相場は続くもののインフレ懸念などから今後も大きく上下に振れる場面が増えるかもしれない。

以前にもまして複眼的な視点が必要

米国の物価動向には要注意だが10年債金利は依然1.6%台と緩慢な上昇に留まっている。今回の世界的な株価調整の要因はインフレ懸念だけではなくもう少し複雑と見るべきだ。米国では投機的取引に対する規制や富裕層に対するキャピタルゲイン増税といった固有の事情もある。欧米に比べワクチン接種が遅れている日本や危機的状況のインドなどコロナの感染状況は地域間格差が拡大している。密接にリンクするグローバル市場とは言え、以前にもまして複眼的な視点が必要だろう。

年初のPER23倍台から割高感は解消

日本については、会社側の今期業績見通しで増益予想であっても事前のコンセンサスに対し下回るものが多かった。発表直後に株価が大きく下押す反応が散見され全体の大幅調整につながった面があろう。それでも現状の集計でアナリストのTOPIX今期予想EPSは120円水準まで回復してきた。TOPIX1895ポイント(5/20)でPERは15倍台である。年初の23倍台から割高感は解消されており下値は限定的と見るべきだろう。

PER16倍勘案なら、TOPIXで2100水準まで買える

さらに、決算発表がコロナ感染再拡大の時期に重なったことから、今期に関してはワクチン接種の進展や経済活動再開の動きから上方修正の可能性も十分有り得よう。最低10%程度の利益上方修正とコロナ以前5年間における景気上振れ期のPER16倍を勘案すれば、TOPIX1で2100水準まで買える。夏頃に向けコロナ感染拡大状況が落ち着いてくれば、1割以上の株価上昇があっても不思議ではない。

極端な偏りがなく循環物色される相場が続く

当面はグローバル経済においてゴルディロックス的な状況を想定しており、素材などの景気敏感株とハイテク関連のグロース株が極端な偏りがなく循環物色される相場が続くと見ている。個別では三井金属(5706)、ダイキン(6367)、キャノン(7751)など。

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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