業績上振れ期待銘柄の押し目を拾う|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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5月の米国個人支出は予想以上に減速

5月の米国個人支出は前月の+0.6%から+0.2%と予想以上に減速傾向を強めた。
物価上昇を加味すればマイナスに沈んだ格好だ。米国10年債金利は6月中旬に3.5%のピークをつけた後、7月初めには2.8%まで急反落となった。GDPの7割を占める個人消費の減速が鮮明になり、年後半から来年にかけて景気後退するのとの当初見通しが前倒しとなるのではとの反応だろう。

インフレ鎮静化の兆しなら意外な戻り相場も

個人消費は物価上昇だけでなく株価下落による逆資産効果の影響が大きい。FRBは、インフレ抑制を最重要の命題としながらも株式市場の安定にも同等の配慮を払わざるを得ない。雇用統計にもやや悪化の兆しが見て取れる。微妙なかじ取りが求められるが、インフレ鎮静化の兆しが鮮明になれば、引き締めペースの鈍化期待で意外な戻り相場もあると見ている。

8月末から9月初旬ころまでは戻りやすい時間帯

その場合、過去S&Pが20%以上下落してベアマーケット入りした後の平均的日柄を当てはめれば、その後の大きなトレンド変化に関わりなく8月末から9月初旬ころまでは戻りやすい時間帯となる。中間選挙との関係では直前10月頃安値をつけ11月の選挙に向けて大幅上昇というアノマリーがあるのも要注意だ。

日本株は欧米の株式市場をアウトパフォーム

今年前半の日本株は上値が重く下落基調だったが、欧米の株式市場をアウトパフォームしている。年初から6月末までの騰落率はNYダウで▼15.3%、日経平均で▼8.3%だ。ここ数年なかった傾向だが、それだけ昨年までのリスクオン局面での日本株の上値が重かったということだろう。

売られ過ぎゾーンにある銘柄が多い

世界経済の不透明感が増しているとは言え、日本株はフェアバリューから見て売られ過ぎゾーンにある銘柄が多い。グローバル資金の日本株買いは今後も期待出来そうだ。
また、年後半に向けて日本株をポジティブに捉える要因もある。企業業績に与える円安のプラス要因、原油を始めとする資源価格の上昇緩和、コロナのリベンジ消費などだ。

個別では?

バリュー面から下値が限定的と考えられる銘柄の中でこれら要因による業績上振れ期待銘柄の押し目を拾っていくのが有効な戦略であろう。個別では信越化学(4063)三菱商事(8058)など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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