下落局面は長期投資なら絶好の買い場|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

光世証券・執行役員 西川雅博|企業速報 証券市場新聞
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ここからの下値は限定的

 大幅安で始まった令和相場だが、その後の米中貿易摩擦の長期化観測や5月の景気指標の悪化など相次ぐネガティブ材料に対して、下げピッチは緩慢になりつつあるようだ。
 週末は久しぶりにリスクオフの動きが強まったが、懸念材料を織り込むスピードは従前よりも早くなっている。投資家の慎重姿勢が変わるには、米中貿易交渉での劇的な展開といったサプライズが必要だろうが、バリューと需給面からここからの下値は限定的と考える。

投資家心理は実体以上に委縮

 投資家に底値感が台頭しないのは、個別銘柄の下落率に較べて2万1000円前後に留まる日経平均の水準が影響しているかもしれない。ファーストリテイリングなど一部値がさ株が寄与したため、N/T倍率は過去2年間上昇を続けてきた。現在のTOPIXと同水準だった2017年3月頃の日経平均は1万9000円前後である。そうしたギャップに加え、「ファーウエイ排除」「レアアース輸出制限」といった米中貿易摩擦に関する過激なやりとりがクローズアップされ、投資家心理は実体以上に委縮しているのでないだろうか。

株式需給状況は水面下で相当改善しタイト化

 一方、10連休を控えポジション調整した機関投資家や安値を狙う個人投資家の待機資金が膨らんでいることは間違いない。6月に支払われる2019年3月期末配当金の総額は約7兆円に達し、4月以降に発表された自社株買い総額は約3兆5600億円と昨年同期比倍増である。また、信用取引残高は2016年以来の低水準にあり、裁定買い残から売り残を差し引いたネット残高も過去最低水準である。金利選好の高い資金が1部リートに向かうなど、株式需給状況は水面下で相当改善しタイト化していると言えるだろう。

個別のバリュエーションでは割安感が顕著

 米中貿易協議に進展がない間は不透明感が拭えず、短期的には調整余地を残しているが、世界的な景気後退と株価の大きな下落トレンド入りにつながることはないと見ている。トヨタをはじめ東証一部でPBR1倍割れの銘柄が半数を超えており、配当利回りを含め個別のバリュエーションでは割安感が顕著だ。ここからの下落局面は長期投資の絶好の買い場と見るべきだろう。




株式情報と相場見通し

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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