上値を押さえるのもやむを得ない
日経平均株価は2月の3万円の大台乗せから膠着感が強まっている。たった1年前に1万6000円台まで売られたことを考えれば、警戒感や達成感が上値を押さえるのもやむを得ない。
全体としての景況感は上向きを維持
3月の日銀短観で大企業製造業業況判断指数(DI)が+5と前回から15ポイント改善してプラス圏に浮上した。コロナ感染の再拡大で非製造業部門の回復ピッチは遅れる懸念があるが、米中など海外経済活動の持ち直しにより輸出や生産活動は拡大しており、全体としての景況感は上向きを維持出来ている。
投資家がマーケット先行きに自信を深めている
IMFは4月になり2021年世界成長率の予測を1月の5.5%から6.0%に上方修正した。昨年後半の主要先進国の株価上昇の背景になった2021年世界経済のV字回復見通しが裏付けられる内容で、底堅い動きは投資家がマーケット先行きに自信を深めている表れだろう。
市場金利の節度ある上昇なら景気回復のプラス側面として消化
一方米国株は依然長期金利動向に神経質になっている。3月のISM非製造業景況指数が統計史上最高となるなどワクチン接種の進展と経済対策効果から、今後も上昇圧力は継続していく可能性が高そうだ。ただ、現状のような市場金利の節度ある上昇なら、株式市場は景気回復のプラス側面として消化していくだろう。急上昇さえなければ株価への悪影響は限定的と見ている。少なくとも夏頃までは、景気回復が鮮明になる過程でインフレ率の上昇に至らず、金融緩和が継続するという「ゴルディロックス経済」の状況になるというのがメインシナリオだろう。株価もそうしたファンダメンタルズを反映した動きになるのではないか。
グローバル資金は不動産関係やM&Aなどの分野で日本市場に食指
潤沢なグローバル資金は不動産関係やM&Aなどの分野で日本市場に食指を動かしている。海外ファンドによる東芝のTOBを巡る動きが話題だが、他のアクティビスト関連銘柄など投資基準に見合う上場株への波及効果もありそうだ。2月以降バリュー株物色が優位の流れとなったが、4月になりハイテク中心のグロース株が盛り返す動きが見られる。例年外国人が買い越し基調を強める時期ではあるが、半導体需要のひっ迫や自動車のEV化加速といった景気サイクルとは別の持続的成長期待が大きい。
6月中間期の高配当銘柄も狙う
4月後半からは企業決算の発表が本格化する。当面はグロースかバリューかという色分けではなく、構造転換や政策のテーマに沿う持続的成長銘柄や景気敏感株など今期業績上振れ期待銘柄が個別に物色される相場を想定している。加えて6月中間期の高配当銘柄も狙いたい。セクターでは半導体、電子部品と化学。個別では日清紡(3105)、横浜ゴム(5101)。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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