株式市場新聞WEB版2023年12月11日号

新聞|証券市場新聞

2023/11/27月曜日

一旦反発も膠着感強い

日経平均が週後半に急落する過程でニューヨーク市場は強い動きを続けていたが、7日に日銀の植田和男総裁が参院財政金融委員会で金融政策運営について「年末から来年にかけて一段とチャレンジング(挑戦的)な状況になると思っている」と語ったことを受けて大規模金融緩和策の「出口」観測から為替は一時1ドル141円台にまで円高が急速に進行、日経先物はナイトセッションで3万2000円割れを伺う急落を見せて、8日は寄り付きから現物の投げで指数の下落を加速させた。

現在、コストの増加を価格に転嫁するコストプッシュ型のインフレ圧力が強まっているが、コストだけが増加してもデフレ脱却にはならない。設備や人に対する投資など供給サイドの競争力向上が実現すれば、企業収益が拡大し、それが所得拡大の原資となる。デフレ脱却のために必要なことは新たな価値創造と所得拡大の好循環を創りだす事だ。

先週の東京株式市場は大荒れの展開でした。週初からメジャーSQの位置取りを巡る攻防で乱高下。木曜日に参院財政金融委員会に出席した日銀の植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べたことで、マイナス金利政策の解除観測のための地ならしを意識したものと受け止められました。

米11月雇用統計は無難に通過しましたが、12~13日にはFOMCが開催され、国内では大規模緩和修正観測が浮上している現状、翌週18~19日の日銀金融政策決定会合への意識も強まっていきます。

チャートから読む騰落銘柄

ニチレイ(2871)

クリナップ(7955)

11月8日に3127円まで突っ込んだあとはジワリ戻す展開。75日線を一気に突破したことで目先は9月12日高値3601円を視野。円高メッリトとして期待。

12月5日に75日線を突破し700円近くまで戻したものの、その後は急降下し、6月8日安値664円が視野に入る。金利高による住宅着工減による影響を懸念。
 

 動意銘柄

LINEヤフ
が急伸

LINEヤフー<4689>が急伸。 7日付でみずほ証券が投資判断を「中立」から「買い」へ、目標株価を430円から500円へ引き上げたことが材料視された。LYPのクロスユース促進やコスト最適化の貢献で中期的な利益成長局面を迎えると見込んでいる。

自動車株
が大幅安

トヨタ自動車<7203>や日産自動車<7201>、ホンダ<7267>、SUBARU<7270>をはじめ自動車株が大幅安。急速に円高が進行したことで、収益への影響を警戒した売りが広がった。ドル円は前日のNY市場で141円台まで円高が進行、東京市場でも一時142円台後半まで円高が進む場面があった。日銀の大規模緩和策修正が観測される一方、米国は早期利下げ転換期待が高まっており、日米金利差縮小により円が買われている。

ローム
が急反発

ローム<6963>が急反発。8日付の日本経済新聞朝が「東芝<6502>とロームがパワー半導体を共同生産することがわかった」と報じたことが買い手掛かりになった。両社の事業費総額3800億円のうち、経済産業省が最大で約1200億円を補助する。電気自動車(EV)の省エネルギー性能を高めるために欠かせないパワー半導体は国内外のメーカーが競争を繰り広げており、共同生産でコスト競争力を高めるとしており、共同生産によるパワー半導体事業の拡大と収益貢献が期待された。

銀行株が
軒並み高

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>などメガバンクや千葉銀行<8331>、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>など地銀株を含め銀行株が軒並み高。前日の参議院財政金融委員会で植田日銀総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べことを受け、マイナス金利解除など大規模緩和修正観測が強まり、国内長期金利が上昇、運用環境改善による収益拡大を期待した買いが広がった。

パソナ
がS高

パソナグループ<2168>はストップ高買い気配。7日取引終了後、第一生命ホールディングス<8750>が連結子会社のベネフィット・ワン<2412>の買収提案を発表したことで売却益拡大を好感した買いを集めた。TOB価格はエムスリー<2413>の提示価格1600円より200円高い1800円を前提で、完全子会社化を目指していることから、全保有株の売却も可能。売却資金による特別配当や自社株買いなどの株主還元もを期待された。

オリ設計
がS高

オリジナル設計<4642>がストップ高カイ気配。同社は7日の取引終了後、株主優待制度の導入を発表した。12月末現在400株以上保有の株主に対して、株主優待ポイントを進呈。株主優待ポイントは、株主専用WEBサイトにおいて5000種類以上の商品からポイント数に応じて交換可能。

輸出企業の平均為替レートが140円と想定される中、円高により収益の上振れが少なくなる懸念から自動車株を中心に売られた。
だが、今後物価上昇が続く中マイナス金利の解除で金融政策を正常化に戻すことはいずれ必要なことである。

自民派閥による政治資金パーティー収入の過少記載疑惑が混迷を深めている。中小企業は10月からのインボイス制度導入により請求書や領収書を含めて経理の作業量が大幅に増えて、記入漏れがないかなどで神経を尖らせているが、お手本となるべき政治家先生が過少記載なんていうのは腹立たしく思っている経営者が多いだろう。

編集後記

1ドル150円を超えたときは160円目指すとの論調があったが、植田総裁発言で一転、円高が進行した。その昔、民主党政権時代には90円台を付けていたときもあった。為替ばかりが先を読むのは株式より難しい。

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