株式市場新聞WEB版2023年7月24日号

2023/7/24月曜日

中銀週間どうなる?

7月第3週の東京市場はニューヨーク市場でのナスダック指数急落などに翻弄される形で半導体関連が値を崩し日経平均では週末に一時、3万2080円95銭まで売られる場面があったが、週明け24日は急反発でのスタートとなりそうだ。21日の大引け後にブルームバーグが、事情に詳しい複数の関係者への取材として「日本銀行は現時点でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の副作用に緊急に対応する必要性は乏しいとみている。」と報じた。

日経平均は7月3日の3万3700円台の高値から7月12日には3万1700円台まで2000円の調整となった。 外為市場では1ドル=145円から137円台まで約8円の円高となった。投機筋(ヘッジファンドやCTA)による「円買い・225先物売り」のプログラム売買が下げを加速させた。
先週の東京株式市場は小幅反落となりました。週初はリバウンドを試す展開でスタートしましたが、19日に25日線が視界に入った局面で戻り売りが出てきました。20日には売買代金が5月8日以来の3兆円割れとなっており、夏枯れ相場入りした印象です。週足ローソク足は7月第1週目に陰線包み足を形成。翌週は下髭陽線で切り返しましたが、先週は上髭の陰線形成と気迷いが伺えます。

週明けは25~26日にFOMC、27~28日に日銀金融政策決定会合が開催されることから、結果次第では波乱のあり得るでしょう。

チャートから読む騰落銘柄

アステラス製薬(4503)

アップル(2788)

5月25日に2360円の高値を付けたあとに高値もみ合いを経て調整を続けたが7月14日に1983円の安値を付けたあとは戻す展開。まずは25日線の2120円を回復し50日線の2192円を目指したい。

東南アジア向け中古車輸出は円安や相場高騰を受けた前期から伸び悩むも好調を持続。2月17日の高値365円を抜ければ22年11月9日にザラ場出つけた447円を目指す展開に期待したい。

 動意銘柄

CINC
がS高

CINC<4378>がストップ高買い気配。20日取引終了後、デジタルマーケティング調査・分析・運用ツール「Keywordmap」に「ChatGPT(GPT-4)」を活用した「AI見出し案自動生成機能」を実装して提供を開始すると発表したことで、利用増と収益貢献を期待した買いを集めた。テーマを入力すると生成AIが日本語キーワードの中から様々なジャンルのビッグデータを総合的に加味、自動で記事の構成案を提案するSEO(検索エンジン最適化)の観点で実用性の高い見出し案を生成できるという。

SOSEI
が大幅反発

そーせいグループ<4565>が大幅反発。20日取引終了後、スイスの製薬企業、イドルシア・ファーマシューティカルズの日本とAPAC(アジア太平洋)事業を買収したと発表したことを受け、業容拡大を期待した買いが向かった。買収額は約650億円で、手元資金と長期借入金で手当てする。売上を急速に伸ばしている主力製品ピヴラッツとダリドレキサントに加え、今後の成長を可能とするパイプラインのオプション権などを取得したとしている。

リョービ
が新値

リョービ<5851>が20日に大幅高で新値追い。この日後場1時、23年12月期の連結業績予想について、経常利益を74億円から120億円(前期比54.0%増)へ一転して大幅増益に上方修正したことが好感された。エネルギーコスト上昇分の一部回収が進み、円安や電気・ガス価格激変緩和対策の効果が表面化、業績好調に伴い、第2四半期末、期末を合わせた年間配当を50円から70円(前期45円)に引き上げた。

半導体関連
の下げ目立つ

東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>、レーザーテック<6920>、ソシオネクスト<6526>など半導体関連の下げが目立った。前日の米国市場でSOX指数が3.6%安と大幅に下落、台湾TSMCが前日に発表した4~6月期決算が四半期ベースで約4年ぶりの減収減益となり、通期の売上高見通しを下方修正したこともネガティブ材料になった。

ニデック
が急伸

ニデック<6594>が急伸。同社は20日の取引終了後、24年3月期の第1四半期(4~6月)決算を発表、連結営業利益で前年同期比34.7%増の61億5200万円となった。「車載」製品グループにおいて、EVトラクションモータ事業が第1四半期で黒字化を達成したことに加えて、「家電・商業・産業用」製品グループにおいて、四半期連結会計期間の過去最高を達成した。

クオリプス
が急反発

クオリプス<4894>が20日急反発、ストップ高まで買われた。19日、NHKがiPS細胞による「心筋細胞シート」を移植する手術を九州で初めて行った九州大学が会見を開き、経過が順調なことを報告したと報じたことが買い手掛かりになった。同社は大阪大学発再生医療ベンチャーでヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の心筋細胞シートなどを開発している。手術はシートを開発した大阪大学を中心とした研究グループが臨床試験を進めており、2年以内に実用化をめざすという。

日経平均は半導体関連株の下落によって値下がり率が大きいがTOPIXベースでみると週間ではプラスであり、辛うじて5日移動平均線も上回って引けており先高期待は高い。 だが、今週は日米欧ともに「中銀ウィーク」となっておりイベント終了まで動きにくい状況である。

2025年開催予定の大阪・関西万博のパビリオン建設が進んでいない。
人手不足や鋼材などの資材高で建設費用が高騰していることが要因とのことだ。

編集後記

今週は中銀ウィークと決算発表本格スタートが注目点。日銀会合も事前の報道が流れているが、黒田総裁時のようにサプライズの可能性がゼロではないだけに基本は発表してから
動くのが無難か。決算発表も好内容でもアナリストコンセンサスと乖離すれば売られるケースもある。
先回りはリスクがあるだけに慎重な対応が求められる。

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