半年足【転ばぬ先のテクニカル】

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞
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月末安の呪縛から逃れられず

昨日の東京株式市場は3日続落となりました。朝方は高く始まり、寄り付き直後には189円高の2万8998円まで上昇しましたが、昨年9月以降、月末安が続いてきた呪縛からは逃れられませんでした。アベノミクスがスタートした2013年以降の6月末は、6勝2敗と勝率の高い特異日でもありましたが、9カ月続いた月末安に終止符を打つことは出来ませんでした。ただ、下げたと言えども日経平均は21円安、TOPIXは5.9ポイント安と10カ月中最少でした。

5月鉱工業生産指数発表される

昨日8時50分に経産省から5月の鉱工業生産指数が発表されました。鉱工業指数とは、鉱業・製造業を営む企業が、どれだけ製品を生産したかを表す数量指数であり、基準を100として、ある月の生産量が基準に対してどれだけ増減しているかを比率の形で示したものです。
鉱工業生産指数が注目される理由は、①経済活動に占める割合が大きいこと。鉱工業と関連産業のGDPに占める割合は「約4割」と大きく、鉱工業の経済全体に及ぼす影響が大きいことがいえます。②速報性があること。当月の結果は翌月末に速報値として公表されるため、足下の景気動向を素早く把握するために広く利用されています。③景気の動きに敏感なこと。一般的に景気が上向くと消費が盛んになるため、製品の生産も増加します。サービス業などは鉱工業に比べ大きな変動は示さないため、鉱工業生産指数の変化から景気の動向やGDPの変化方向を読み取ることができます。

前月比減少で前年年同月比は増加

さて、5月の鉱工業生産指数は生産が前月比-5.9%の94.1、出荷が同-4.7%の93.1、在庫が同-1.7%の93.1、在庫率が同+0.3%の107.7でした。前年同月比では生産が+22.0%で87.2、出荷が+22.5%の84.8、在庫が-9.3%で95.1、在庫率が-28.4%の117.5でした。

世界的半導体不足響く

生産、出荷、在庫ともに低下業種には自動車工業がラインクインし、電気・情報通信機械工業が生産と在庫で低下、生産用機械工業が生産と出荷で低下しています。また、鉄鋼・非鉄金属工業が出荷で低下する一方で在庫では上昇しています。世界的な半導体不足を受けた自動車工業の記録的な減産が響いていることが伺えます。

水準は20年12月以来の低さ

鉱工業生産指数の水準は2020年12月以来の低さで、15業種中13業種が低下しました。自動車工業が19.4%低下したほか半導体製造装置など生産用機械工業が5.9%、自動車用電気照明器具などの電気・情報通信機械工業が4.5%低下しました。経産省では自動車工業は5月を底に持ち直すのではないかと予測していますが、生産指数の民間予測が2.4%の低下だっただけに厳しい数字だと思います。

中国経済も鈍化

11時に中国の国家統計局が6月の製造業購買担当者景気指数が発表されましたが、PMIは50.9と好不調の境目である50を上回りましたが、前月より0.1ポイント低下。低下は3カ月連続であり、半導体や電力の供給不足が重荷になりました。コロナ以降真っ先に景気の回復軌道を描いてきた中国経済も鈍化してきており気になるところです。

後半もTOPIX優位の展開

さて、早くも今年の折り返しとなります。年前半の日経平均は1347円高、TOPIXは138.89ポイント高となりました。一方、年間高値の2月から計算すると日経平均は1923円安、TOPIXは3月高値から70.1ポイント安ということになりました。日銀のETF購入が日経平均型からTOPIX型に変わったことを如実に示した形です。半年足では日経平均は上髭長い陽線、TOPIXは日経平均に比べるとシッカリした陽線です。年後半もTOPIX型優位の展開が予測されるところです。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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