金融相場から業績相場へ移行する局面|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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金利動向に神経質な動き

2月中旬以降、米国株式市場では長期金利上昇懸念からグロース株を中心に調整色を強めている。昨秋から「いいとこ取り」で急上昇してきた米国株だが、さすがに10年債の利回りが過去1ヶ月で1%から1.5%以上に上昇して金利動向に神経質になっている。2月のISM景況感指数は製造業と非製造業いずれも原材料不足や原油高、労働面の制約から物価上昇圧力が強まっていること示唆する内容であった。財政負担急拡大に関しての不安も取り沙汰されている。

過去の大幅調整局面と異なる

3/5のパウエル発言に対する反応も含め市場はさらなる金利上昇圧力を懸念しているが、寒波など一時的な要因が大きいことや株式市場がこれ以上リスクオフの様相を強めれば、金利上昇の勢いが止まることも想定される。そもそも、積極的財政政策とワクチン普及による景気回復への確かな期待が金利上昇の背景である。節度ある金利上昇にはポジティブな側面もあるはずだ。今回の調整は過剰流動性がもたらした速すぎる株価上昇への警戒感というテクニカルな側面が大きいと見ている。過去の株価大幅調整局面は、市場金利動向ではなく金融政策の転換によるところが圧倒的に多いことにも留意すべきだろう。

日柄調整は4月中旬まで?

現時点でテーパリングの開始などによる本格的な調整に突入すると見るのは依然時期尚早だ。ただ、市場がそれを見極めるために今回のアンワインドにはある程度の日柄か値幅が必要だろう。例えば、日経平均株価と連動性の高いナスダック指数は昨年9月に、コロナショック後の大幅反発を経て直近高値から20日間で値幅にして11.8%の調整を入れた後約2カ月間の踊り場を形成した。今回に当てはめれば3/7安値で12400ポイント水準(3/5終値 12723)、日柄調整は4月中旬までとなる。

3月決算の高配当利回り銘柄に妙味

日経平均に寄与率が大きい一部値がさ株など偏った株価水準に対し資産配分の見直しが行われていることが指数変動要因になっている可能性もある。実際に足元の日本株市場では金融株などTOPIX型銘柄は日経平均比べて底堅さを見せているものが多い。短期的にはハイテク株の自律反発期待があろうが、中長期には金融相場から業績相場へ移行する局面と考えてバリュー型の景気敏感株の押し目を狙いたい。その中でも3月決算の高配当利回り銘柄に妙味がありそうだ。個別では三菱ケミカルHD(4188)。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp

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