景気指標などで売られる局面あれば押し目狙い|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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市場を取り巻く環境は複雑で一筋縄ではいかない

FOMCでタカ派色が強まったことを受けて日経平均が一時2万8000円を割り込むなど日本株は不安定な動きが続いている。21日には日銀が2ヶ月ぶりにETFの買いを入れた。米国の金融政策において正常化に向け議論が本格化し始めたのは間違いないが、短期の値幅調整としては過剰反応だろう。ただ、国内ではワクチン接種の進展により景気回復の期待が高まる一方、グローバル経済では商品市況など5月までに回復を相当織り込んだと見る向きがある。ESG投資の観点からトヨタが1万円をつけるという個別の動きもあり、市場を取り巻く環境は複雑で一筋縄ではいかない。

成長率の鈍化見通しが期待インフレ率の低下に

FRBはサプライチェーンの目詰まりが解消されるのに時間がかかるとして物価動向に一層注視する姿勢だが、足元の10年債金利は逆に1.4%台に低下している。インフレ懸念の台頭からの長期金利上昇、テーパリング早期実施という当初の株式リスクシナリオとは違う反応だ。金融引き締めテンポが前倒しになったことで、来年以降の成長率の鈍化見通しが期待インフレ率の低下に繋がっている。

安定成長に向けうまくコントロールしている

FRBは市場との対話を重ねて金融政策転換による資本市場の混乱を回避することに最大限注意を払っており、現状は安定成長に向けうまくコントロールしている見るべきだろう。超金融緩和下において市場の警戒はやむを得ないが、個別の発言やニュース、景気指標で売られる局面があれば逆に押し目を狙うべきだ。

今年の上値メド3万2000円台との見方は不変

春先から5月にかけ急騰した商品市況がその後急反落に転じ景気敏感株や金融株は調整色を強めた。今期業績予想の前提となる外部要因の変動幅が大きく投資家の慎重姿勢につながっている。保守的な見方が多い分、世界景気の回復トレンドや国内個人消費動向への期待を含めむしろ今後上方修正の可能性は高まっている。EPS10%以上の上振れとPER16倍で今年の上値メドはTOPIXの2100台、日経平均で3万2000円台との見方は変えていない。

今後は業績相場の色彩が強まる

物価上昇懸念がクローズアップされているが、金融政策においては資本市場の過熱や混乱防止も最重要目的の一つだ。現状のようにコントロールが効けばマーケットはゴルディロックス的な動きに向かう。イールドカーブのフラット化を受けて短期的にはグロース株優位となったが、今後は業績相場の色彩が強まると見ており循環物色から景気敏感株にも出番があるだろう。個別では大日本住友製薬(4506)日立(6501)ミネベアミツミ(6479)。

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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