絵に描いたような安値にはならない|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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短期間で約1000円上昇し2000円下落

3月になってボラティリティが急拡大している。日経平均で先月まで1カ月以上続いた2万7500円前後の膠着相場から一転、短期間で約1000円上昇(3/9)し2000円下落(3/16)した格好だ。

調整はまだ不十分?

シリコンバレー銀行(SVB)破綻で動揺したが、昨年3月米国の金融引き締め開始以来のレンジ相場からは逸脱していない。過去1年間で大きな調整は今回5回目だが、概ね2万8000円台で高値をつけ2万5000円台で下げ止まってきた。下落幅は3000円、日柄は平均して1カ月半程度である。最も短期間で安値をつけたケースでも6月の11日間だった。今回の場合、値幅面からも日柄面からも調整はまだ不十分との印象だ。

正常化への道のりはまだ始まったばかり

コロナ渦でさらに加速して膨らんだバランスシートの巻き戻し、正常化への道のりはまだ始まったばかりである。これからも考えてもいないような事が発覚して市場を揺さぶる可能性があり要注意だろう。ただ、今回シリコンバレー銀行の件で影響が懸念されるベンチャー関連やミーム株については2021年高値からすでに大きな調整が終わっているとの見方が出来る。

急落時の過剰反応は不要

また、リーマン以降米国では様々なセーフティーネットが整備されてきた。信用不安の大きな混乱は回避されるだろう。急落時の過剰反応は不要でここからは押し目買いで対応したい。

株価下落がハト派転換を促す

金融政策に関する予想は今後も短期間で揺れ動く可能性が髙い。足元の景気指数ややインフレ指数もマチマチである。株価下落がハト派転換を促し、株価上昇がタカ派姿勢につながるとの見方だ。むしろ、今回の件で金融政策の判断基準が従来よりハト派傾向になる期待もあろう。

期末接近で日本株の需給は悪くない

期末接近で日本株の需給は悪くない。押し目買いの個人の権利取りに加え、パッシブ運用の配当再投資が控えている。試算では日経平均先物で1500億円、TOPIX先物で9500億円強の買い需要がありそうだ。経験則から日経平均の2万6000円割れは買いチャンスと狙う向きが多そうだが、絵に描いたような安値にはならないと見る。

個別では?

3/9高値に対する調整がまだ不十分だとしても、バリュー面だけでなく需給面からも昨年来のレンジの下値は切り上がるのではないか。期末を前に高配当利回り銘柄をNISA口座で買い付けるのも一考だ。個別では日本製鉄(5401)ゆうちょ銀行(7182)三菱商事(8058)など

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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