長期上昇トレンドにおける小波動の調整サイクル
日経平均は23000円台半ばまで回復したものの11月以降はやや上値の重い値動きだ。昨年1月と10月に2度つけた24000円台高値が視野に入るところだが、当時はいずれのケースもその後急反落に見舞われている。
裁定売り残がピーク時から半減し、外国人投資家が11月第3週には161億円と小幅だが8週振りに売り越しに転じた。短期的にはやや上値を追いにくい状況も見られる。上げピッチが早かっただけに、長期上昇トレンドにおける小波動の調整サイクルにあるとの見方が出来よう。
より長期投資の視点を意識すべき
一方、米中貿易協議の進展や世界的景気動向などの外部環境と金融緩和による過剰流動性を背景にしたリスクオン状況に大きな揺らぎはない。一気に楽観相場に傾かないことが、むしろ上昇相場の持続性や調整の浅さにつながると見ている。ニュースヘッドラインに一喜一憂せず、より長期投資の視点を意識すべき局面であろう
ここからの上昇局面では機関投資家の持たざるリスクも
今年は世界的な金融緩和の流れから各国の長期金利は低下基調が続き、10年国債利回りは欧州複数国でマイナス金利、オーストラリアで1%、ギリシアでも一時1.2%割れまで低下した。数年前の高金利からすれば、債券バブルとの見方が台頭するほど世界的な超低金利である。日本でも東証REIT指数が年初から10月までほぼ一本調子で3割近く上昇したが、いずれも金余りと過剰流動性を背景にした動きだ。ただ、そうしたマーケットでもここに来てようやく値動きに一巡感が見受けられる。当面は金融政策に大きな変化はないと思われ、運用難が続くグローバル資金の受け皿として日本株の相対的な魅力は増しているのではないだろうか。ここからの上昇局面では機関投資家が持たざるリスクを意識してもおかしくない。
グローバルな景気敏感と親子上場解消関連に注目
米大統領選を控え、米国を中心に世界景気は来年半ばに向け堅調に推移する期待が大きいだろう。日本株も来年度は業績相場の色彩が強まると考えている。TOPIXは昨年高値1911に対して現在1700近辺にあり、個別銘柄では日経平均に較べて依然割安なものが多い。円安メリットの大きいグローバルな景気敏感セクターと親子上場解消関連銘柄に注目している。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
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