トランプ手法には冷静な対応が必要
年末に米中通商問題が一段落したと思いきや、新年は一気に中東の地政学リスクに振り回されるという幕開けになった。石油資源の安定供給は世界経済にとって死活問題であり、初期反応としてマーケットは敏感にならざるを得ない。ただ、就任以来のトランプ大統領の外交手法を振り返れば、言動やヘッドラインの過激さとは裏腹に冷静な対応が必要だ。
個別ニュースに右往左往しない
当面は両国の過激なやり取りや軍事的緊張が続くので予断を許さないが、トランプ氏が強運の持ち主であることと過去の米国大統領とは異質の存在であるという視点を持つべきだろう。現在の株高は世界的な金融緩和による金余りが背景である。この状況に大きな変化がない限り個別ニュースに右往左往することは避けたい。
トランプ大統領は景気・株価に最大限配慮をした戦略を取る
今年は米国大統領選が金融市場を占う上で最重要ファクターである。トランプ大統領は内政・外交共に選挙の趨勢に大きな影響を及ぼす年央辺りの景気・株価動向に最大限に配慮をした戦略を取ってくるというのがコンセンサスだろう。その気質、実績において極めてマーケットフレンドリーな大統領と評価出来る。民主党の対抗馬が誰になるかは要注目だが、少なくとも春頃までは大統領選が投資家心理にプラスに作用すると見ている。
円相場安定も日本株にはポジティブ
今回のイランリスク発生後の為替相場では、従来の危機発生時に比べて円高へ触れる値幅が小さく、すぐに元の水準を回復した。これは昨年来の為替相場安定傾向が今年も継続することを示唆しているのではないか。日本の貿易収支の黒字減少という構造要因があると見ているが、円安気味にドル円相場が安定することは、業績不透明要因が減少することで中長期的に日本株にはポジティブに働くだろう。
3月頃迄に2万5000円台目指す
秋以降年末にかけ国内景気動向や企業業績は消費増税や米中貿易摩擦の影響からやや減速傾向が見られた。一方、半導体分野の需要動向や米国通商問題の沈静化で来年度からは回復に向かうとの期待がある。日経平均予想PER14倍台に割高感は乏しく、来期以降の回復期待が鮮明になれば株価への感応度は高くなるだろう。長期的観点に立って今回のような押し目は積極姿勢で臨みたい。テクニカル的には日経平均で18年10月の高値2万4270円が重要なポイントとして意識される。早い時期にこれを上抜き3月頃までに2万5000円台を目指す動きになると予想している。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
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