4月頃からはややリスクオンか?|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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FRBは市場からの信頼維持

米国では年明け以降とりわけナスダック指数の堅調ぶりが目立っている。
チャート上は昨年10月と12月のダブルボトムの形状となり、中長期のトレンドの転換を示唆する動きだ。足元では10年債利回りが上昇する中でグロース株が買われ、昨年までとは逆の現象が見られる。FRBの金融政策がうまく機能してリセッションが回避され、ソフトランディングも可能との見通しが広がっていることが背景だろう。インフレへの警戒を緩めないFRBだが、市場からの信頼は維持出来ている。

順相関の傾向は強まっていく

過去の米国金融引き締め期のナスダック指数と10年金利の相関係数を見ると、引き締め最終局面ではそれまでの金利上昇→株安の関係から今回のように金利上昇=株高という正常化に向けての転機が見られる。そして株式市場が一旦、引き締め観測に伴う金利上昇=売り要因という呪縛から解放されると、順相関の傾向は強まっていくようだ。
実際、そうした転機を経てナスダック指数は大幅上昇に向かう事例が見られる(2000年、2006年など)。金融引き締めの最終時点と米国株の動きを占う上で要注目だろう。

バリュエーションの視点が必要

3月決算銘柄の通期下方修正が相次いだが、現在のところ個別にも全体にも市場への影響は限定的だ。コスト高による足元の利益落ち込みは一時的であり、来期以降には回復するのではとの見方がコンセンサスだろう。元々低PERに放置され期待値を織り込んでいない銘柄が多いことも底堅さの要因だ。デフレ脱却の兆しがある現局面では、業績の傾向を見ると同時に資産や利益水準、配当利回りなどバリュエーションの視点が必要だろう。

当面は見通しを立てにくい状況だが・・・

当面は、日銀新総裁の金融政策転換への市場の過度な期待や欧米のインフレ動向など見通しを立てにくい状況が上値を抑えることは否定できない。ただ、4月頃からはそれらも徐々に払拭され、夏に向けてはややリスクオンの様相になるのではと見ている。

割安感のある株が買われやすい

テクニカル的に日経平均の上値の壁と意識される2万8000円近辺ではショートポジションが積み上がる可能性もある。物色の流れは、米国でナスダック主導の戻り相場が予想されるが、日本固有の事情では割安感のある株が買われやすいだろう。短期的には3月期末配当取りが意識される。いずれにせよ、グロース、バリューのどちらか一辺倒に偏らないことが年間を通して全体上昇相場の持続力につながると見ている。

個別では?

個別では三菱ケミカル(4188)日本郵政(6178)野村HD(8604)など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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