株式市場新聞WEB版2023年4月24日号

2023/4/24月曜日

日米とも決算本格化

 米国ではテスラなど主要企業の決算が始まっているが、個々の企業の決算悪は取り立てて悪材料にされず、高値警戒感がある中では上値を積極的に追う材料はなく、2万8500円割れでは押し目買いの戻す展開で、「上値は重いものの底堅い」という動きだった。
 4月第2週はウォーレン・バフェット氏による日本株追加投資報道で改めて日本株の魅力が再認識されたが、第3週もそのバフェット効果が日本株を下支えしたようだ。

過熱感が強まってきた日米の株式市場であるが、PBRの1倍割れ銘柄の買いは暫く続きそうだ。
東証は1月下旬に、プライムやスタンダード上場企業に対して継続的にPBRが1倍を割れている会社には必要に応じて改善に向けた方針や具体的な取り組み、その進捗状況などを開示することを要請することを取り決めた。
変革に取り組む企業が増加すれば、日本株の株価底上げにつながることを狙っている。2月に入ってからPBRの1倍割れ銘柄が買われ始めており、東証狙いは成功していると言っていいだろう。

4月10日~14日の投資部門別売買状況では海外投資家が現物を1兆494億円、先物を5377億円と大きく買い越していましたが、その週もオプションSQの14日以外は低調な売買代金でした。ウォーレン・バフェット氏が来日し、日本株投資に積極的な姿勢をしめしたことで、海外投資家が日本株に目を向けたようですが、それにしても盛り上がりに欠けます。

米国株が軟調で主力企業の3月期決算発表を控えることから上値を買い進む動きはありませんでしたが、目先の目標達成感が意識されるなか薄商いながらも底堅い動きです。

チャートから読む騰落銘柄

東映

レノバ

1万7000円トビ台からの底値離脱を経て21日には3月9日の1万8000円を一気に上抜き、1万8270円まで買われる。スラムダンク新作映画が中国で記録更新に大ヒットで昨年11月高値1万9120円も視野。

 4月18日は50日線回復し、2110円まで上昇する場面あるも、そこから押し戻され、再度の2000円割れ。315万株超の買い残重しで、バイオマス燃料市況の動向次第では3月16日安値1800円も視野。

 動意銘柄

Welby
がストップ高

Welby<4438>がストップ高まで買われ年初来高値を更新した。この日、PHR(個人健康記録)を通じて患者中心のがん診療実現と治療アウトカムの向上を目的とした「オンコロジーPHRコンソーシアム」を設立したと発表した。コンソーシアムでは国立がん研究センターをはじめとしたがん診療連携拠点病院と共同プロジェクトを開始、PHRに集積される臨床データをレジストリ化して治験や臨床研究での利用を促進することにより、患者個別の状態にあわせた最適な治療が提供できる環境を構築するとしており、PHRの利用拡大と収益貢献を期待した買いを集めた。

ディスコが
新値

ディスコ<6146>が大幅高で新値追い。同社は20日の取引終了後、23年3月期決算を発表、連結営業利益では計画の1032億円に対して前の期比20.7%増の1104億1300万円と上振れ着地したことが好感された。24年3月期の第1四半期(4~6月)予想については、連結売上高で533億円(前年同期比10.8%減)へ、営業利益で165億円(同23.6%減)を見込んでいる。精密加工装置においてはグラインダを中心に高水準の出荷が継続しているが第1四半期は減少を見込んでいるようだ

ダイワ通信
ストップ高

ダイワ通信<7116>が21日ストップ高。同社は19日の取引終了後、ヤマト運輸と、同社のAI顔認証送迎用バス置き去り防止安全装置Face Roll Callについて、全国の送迎バス保有事業者への訪問取付を目的とした業務委託契約を締結したと発表したことが好感された。

仁丹
ストップ高

森下仁丹<4524>が一時ストップ高。前日引け後、23年3月期の連結業績について、営業利益を2億8000万円から5億6000万円(前期比87.3%増)へ大幅に上方修正、年間配当を37円50銭から40円(前の期37円50銭)に引き上げたことが好感された。ジェネリック医薬品分野で販売を開始した高脂血症用剤の販売が予想を上回り、販売価格引き上げ効果も利益を押し上げている。

半導体
が買われる

アドバンテスト<6857>や東京エレクトロン<8035>、レーザーテック<6920>、ディスコ<6146>など半導体製造装置関連が堅調。前日の米国市場でラムリサーチが1~3月期決算が好感され7%超高と急伸、台湾TSMCは通期売上高見通しを下方修正したものの、設備投資計画を据え置いたことも買い安心感を誘った。TSMCは事前に設備投資計画の下方修正観測が伝わっていた。

旅工房
ストップ高

旅工房<6548>が21日ストップ高。今年のゴールデンウィークはコロナ禍の昨年から一変して旅行者数が大幅に伸びることが予想されることからネット専業の旅行会社である同社はゴールデンウィーク関連として人気を集めている。

発表された投資主体別売買動向では4月第1週に続いて第2週目も海外投資家の買い越しは続き現物で1兆499億円の買い越しと9年半ぶりの買い越し額となった。
今年から「物価上昇と賃金上昇」というモードに移行した日本を海外投資家は大きく評価しているようだ。

ANA(9202)を出遅れとして取り上げて推奨し始めていますが、これも2800円に乗せた後、上値の抵抗を消化しながら、堅調な動きになっています。10日の高値2835円を抜く2837円までつけた後は2828円で終えていました。4月高値の2898円を目指す展開へと向かうことになるでしょう。

日経平均は18日までで8連騰となっていたこともあり、流石に上値を追うと戻り売りに押されているが、それでも3月9日以来の高値水準を維持する動きにこれまでとは違う強さを感じてしまう。

編集後記

いよいよゴールデンウイーク入り。今年は海外旅行に出かける方も多いようだが、どこでも話題になるのは人手不足。コロナ禍で解雇した人員を簡単に戻すのは難しい。筆者の知人も「もう飲食業は懲り懲り」と全く別の業界に転職してしまった。コロナ禍以前の状態に戻るには時間がかかりそうだ。

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